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出典: 新生讃美歌ウィキ
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詞と作詞者
作詞者ジョン・ニュートン(1725-1807)は、船員であった父と共に11歳から船に乗り、後には奴隷船で働いていました。しかし、彼が22歳の1748年、3月10日(リビングプレイズ64番の解説による)あるいは5月10日(wikiediaによる)に、大嵐に遭遇、船中で信仰書を開く気になりこれを機に回心。後に英国国教会の牧師となりました。
ニュートンはオウルニィ(ロンドン北西の小さな町)で牧会するにあたり、説教では自作の賛美歌を使うのが常でした。1779年に出版された「オウルニィの讃美歌集」のうち280曲がこうしてニュートンが作ったものです(他に当時共に暮らしてニュートンを支えたウィリアム・クーパーの68曲を収録)。新生賛美歌では、12,277,301,345,346がニュートンの作詞です(ただし345と346は同じ詞でメロディー違い)
オウルニィ讃美歌集のBook1には、聖書を創世記から順に解説するのに使用した讃美歌が収録されていますが、その41番目に「Faith's Review and Expectation」が収録されています。表題の横に歴代誌一17:16-17が付記されたこの讃美歌が、「Amazing grace! (how sweet the sound) that saved a wretch like me」で始まる一篇です。
1773年1月1日の礼拝説教が、この歴代誌一17:16-17からでした。その日の説教メモが残されているので「アメージング・グレース物語」より引用します。
この世界の神によって目がくらむほど圧倒されて-私たちはほんの少しも救いを願ってはいなかった。主の助けを望む代わりに、主への反抗心を示した。主の恵みは私たちに、それに値しないだけではなく望んでもいないのに、やってきた。そう、主の呼びかけに抵抗しなかった人はまずいなかった。また主が私たちの心のドアをたたいたとき、主の恵み(グレース)の力によって圧倒されるまで、主を締め出そうとしない人もまずいなかった。私たちの生来の特質については「テトスへの手紙三・三」を見ること。
なお、2010年9月24日現在でwikiediaには「1772年、「アメイジング・グレイス」が生まれたのである。」とあります。
ただし、この讃美歌が「現在のアメイジング・グレイス」になるのは、ニュートンの詞が後に現在のメロディと出会ってからになります。
曲と題名
このメロディーは、新生賛美歌301番の右上に「Virginia Harmony,1831」とありますが、現在ではもう少しさかのぼるとする説が有力のようです。「アメージング・グレース物語」では次のように解説しています。
今までの研究では、現在のメロディーになる以前は「アメージング・グレース」は一〇を越える種類のメロディーによって歌われていたという。そして、現在耳にするメロディーの由来についても諸説がある。一八三一年に出版された讃美歌集『ヴァージニア・ハーモニー』に収められているメロディーが起源であるとする節(原文ママ)が一九九〇年頃まで有力だったが、現在は一八二九年に出版された讃美歌集『コロンビア・ハーモニー』所収のメロディーが有力視されている。これらの説は、アメリカにメロディーの起源を求めるものだが、「アメージング・グレース」のメロディーが通常の七音階ではなく五音階であることと、独特の「哀愁」と「力強さ」があることから、これはスコットランド特有のものであるとして、スコットランド人の移民がアメリカに持ち込み、それが『コロンビア・ハーモニー」に取り入れられたのではないか、という説も唱えられている。
ヴァージニア・ハーモニーを起源とする説が1990年頃まで有力だったとあるとおり、1990年初版の「リビングプレイズ」でもこの曲を「アメリカ民謡」としています。これが1998年初版の「讃美歌21略解」では移民由来説を採用していて、コロンビア・ハーモニーについての言及はないもののメロディーについて次のように紹介しています。
ニュートンの作品の中で特に目立つものではありませんでしたが、スコットランドやアイルランドからアメリカへ移民として渡った農民たちが、この詞を自分たちの民謡的な旋律と組み合わせて愛唱するようになりました。旋律が初めて現れたのは1830年前後で、さまざまな歌集にさまざまな曲名で収録されています。Southern Harmony(1835)で初めて"Amazing grace"の歌詞と組み合わされ、その時にはNEW BRITAINという曲名でした。現在の形になったのは福音唱歌作曲家・出版社のエドウィン・エクセルによるMake His Praise(1900)で、AMAZING GRACEという曲名もこの時に初めて使われました。
how sweet the soundの扱い
新生賛美歌301のページの左上には「Amazing grace! how sweet the sound」となっていますが、「how sweet the sound」の部分は本来はカッコ書きで、作者は「Amazing grace! (how sweet the sound) That saved a wretch like me!」と記しています。ここでカッコがあるのとないのでは意味がかなり違ってしまいます。カッコなしだと「Amazing graceという甘美な響き、それは私のような惨めな者をも救った」となり、Amazing graceがまるで「その言葉を唱えるだけで救われるお題目」のようです。
ニュートンが伝えたかったのは「驚くほどの恩寵、それは私のような惨めな者をも救った」ということだろうというのは、彼の物語からもうかがえます。詩人が書いたとおり「how sweet the sound」の部分はカッコの中にしまっておくのがよいのではないでしょうか。
邦題および収録歌集
- 新生賛美歌301番「いかなる恵みぞ」
- インマヌエル讃美歌257番「いかなる恵みぞ」
- 讃美歌第二編167番「われをもすくいし」
- 讃美歌21 451番「くすしきみ恵み」
- 聖歌(1969年版)229番「おどろくばかりの」
- 新聖歌233番「おどろくばかりの」
- 救世軍歌集144番「おどろくばかりの」
- リビングプレイズ64番「驚くばかりの」
- 改訂古今聖歌集試用版2118番「やさしき息吹のこのみ恵み」
- SDA讃美歌149番「素晴らしい恵みを」
参考文献
- 「「アメージング・グレース」物語 ゴスペルに秘められた元奴隷商人の自伝」ジョン・ニュートン著 中澤幸夫編訳 彩流社 2006年12月15日第1刷
- 「讃美歌21略解」日本基督教団讃美歌委員会編 日本基督教団出版局 1998年5月25日初版
- 「リビングプレイズ 主を賛美し、礼拝しよう」いのちのことば社 1990年5月1日初版
